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Viva La Vida ビヴァ ラ ビダって、「今を生きる」 を感じること。 実在人物の軌跡、考え、心、光と闇に触れて感じるスペース ☆ 私的セレクト図書館。 

ラベル 農業 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2014/01/15

OUT OF AFRICA アフリカの奇跡 (佐藤芳之、実業家)

サブタイトル : 世界に誇れる日本人ビジネスマンの物語
Advantage : 情熱/ヒトの品格/リーダー像/農業開発者
Key : 本/男性/海外/企業家/社会貢献/OUT OF AFRICA/ケニア 

Info :


佐藤芳之さん、1939年生まれ。
 日本の大学卒業後にアフリカへ渡り、1975年35歳の時にケニア・ナッツ・カンパニーを設立。
年商30億円、アフリカ有数の食品カンパニーに育て上げる。
2008年、タダ同然で全てをケニア人に託し、会社を去る。
現在、更に一歩進んだソーシャル・エンタープライズとして、バクテリアを利用した新たなビジネスに挑戦中。

<佐藤さんが毎日眺める言葉、自分を鼓舞する言葉>
   "Dream as if you'll live forever. Live as if you'll die today." -  by James Dean
      永遠に生きるかのごとく夢を抱き、今日死ぬかのごとく生きよ.

<座右の銘>
  “貫く棒の如きもの” 高浜虚子の一句より

・・・・意識の中に一本芯のようなものをしっかり持っていること。
そうすれば、回り道や遠回りしても修正がきくという感覚がある。
学生時代に的が絞れていないと批判された好奇心旺盛さからの、沢山の行動は、キラキラと光る色んな破片をパラパラと撒き散らしていたのではないか。
成長するにつれ、キラキラの破片が収束して光になっていけばいい。
それは、何か1つのものに向かって一直線な生き方とは正反対のもの。
情熱を燃やし続け、途中で変化を受け入れて挑戦する勇気を持ち続けること。

カッコイイ。
太く長く生きたいと言い切る、佐藤さんの静かな強さ、生き方の美学をこの本で読んだ後では、なおさらカッコよく響く言葉です。2つに共通したものを感じます。


 他の有名経営者と明らかに異種なこと、それは佐藤さん自論のカンパニー理想像、それを率いるリーダーの役目(リーダー像)です。
 政治・文化的に不安定なアフリカの情勢の中に単身乗り込み、現地の人々が幸せだと感じる大規模カンパニーと経済の仕組みを築き、根付かせた功績は、社会的にも大きな意味を持ちます。
このような偉業を成し遂げたのに、その過程で、気負ったところ、義務感、正義感を押し付けがましく表さない、常に低姿勢で語り、苦労もさらっと話していくところがスゴイです。
本人が述べているように、会社経営も人との関わりも極力シンプルに、シンプルにと意識的に徹底しているのが解ります。この姿勢に、全ての経営論、生き方が集約されていると思います。

 自分も含め、アフリカに共感する人々によって、アフリカの地に足をつけて、理想のカンパニーの姿を実現したかった、それが社会的貢献をも担って関係者皆がハッピーなら更に良い、そのために進んできたかのようです。
役目が終わった時には、風のようにさっと立ち去る。誰かのために、社会のために、これをやらなくてはということに動かされていない。自分の生き方の美学を実現しながら、必然に導かれて進んできたというスタンスを貫いていて、とても潔く、清清しく感じます。
 
<理想の会社とは?>
・会社の目標は具体的に、“皆でちゃんと食べられる”を掲げる。
・この会社に就職するのは、自分の仕事を生み出すこと。つまり創職することなんだよ。
・社員たちに利益の可能性を話すより、やりたいという気持ちを話した。
 やりたいという気持ちがあると、エキスパートが集まってきて軌道に乗る。
 カンパニーとは仲間で分かち合うものなんだ。
・利益は全て再投資と従業員へ還元。
・自分の職能が見つかった人は、どんどん独立して自分で仕事をしなさい。
 社員というのは自由な意思を持った個人、会社が縛ったりするものではない。

 経営者としての功績もさることながら、人間力と生き方の美学を称賛したいと思う内容でした。
同じ日本人として誇りに思います。

2014/01/04

リンゴが教えてくれたこと (木村秋則、農家・自然栽培指導家)

Advantage : 情熱/幸福の意味/挑戦したくなる
Key : 本/日本/社会貢献/奇跡のリンゴ/農業/木村秋則/自然栽培

Info : 




 自然栽培の「奇跡のリンゴ」を実らせた、木村秋則さんの沢山の思いが込められた手記です。
1978年から、無農薬、無化学肥料栽培への挑戦を開始し、11年目の88年にリンゴを収穫するまでの道のりと着眼点、生活状況やその時々の気持ちと共に語られているためか、等身大の木村さんの思いが一層感じられる本だと思います。
 
 現在も自然栽培の指導に情熱を注ぐ木村さんの夢は、農業家としての誇り、地球環境の修正に通じています。
近年、有機野菜(自然栽培とは異なる、JAS規定の有機栽培による)ブームの日本は、世界第一位(2009年時点)の肥料、農薬利用国だということを、どれだけの日本人が意識して暮らしているでしょうか。

 農薬の健康被害に苦しまず、家族の笑顔が畑にあればよい。
 貧乏でも楽しいこともある。達成感は素晴らしい。
 その結果が社会のお役に立って生きていけたら幸せ。
 
「奇跡のリンゴ」が実を結ぶまで約10年間の無収入、極貧生活、周囲の批判、失敗の連続、そして自殺を考えるほど苦しんだ時代を乗り越えての、今の木村さんの言葉と夢が、上のように巻末に語られていました。
 私利私欲にとらわれず、人間が破壊している地球環境を正すため、志を理解する農家に協力するため、今も毎日挑戦しつづける情熱と言葉に重みを感じ、頭が下がる思いです。
これが木村さんが追い求める幸福の形、美しいと思います。

 木村さんの自然栽培の歴史と信念、その発見は、農業知識が無い私にとっても興味深いものでした。それは、木村さんが元々サラリーマンで始めは農業知識が少なかったため、共感しやすいからでしょうか。
 結婚した当初は、家業のリンゴ農園を農協の指示通りに営んでいましたが、数年後に農薬被害に苦しむ家族の姿を見て一念発起。農薬や化学肥料を使わない農業に目を向け、0から自然栽培への道を歩き始めます。当時の農業常識と対峙する逆転の発想でした。
 それから約10年間、失敗の連続、極貧生活、家族への申し訳なさに苦しむ時代を過ごします。
それでも自然を観察しながら、「観察型農業」、「自然の山の生命力に教わる」を検証し、1つずつ壁を乗り越えて、自らが確信した道を、ぶれることなく突き進んでいきます。
自分がリンゴだったら、稲だったらと考え、土、草、虫、水、温度の働きを自然の生態系に近い環境にするには、何をすればよいのか。そして、自然に“ありがとう”という気持ちを持って接すること。
その徹底した自然観察には驚かされます。例えば、リンゴが無収穫の時代に、米や色々な作物の自然栽培も試していて、品種の原産地の環境に近づけることで収穫量が飛躍的にアップすることを発見しました。また、キュウリの巻きヒゲに手を出してみると、その生産者の指にはヒゲが絡まることが多いことにも気づきました。まるで、人の心を理解し、判断しているような現象です。
 自然観察は基本で大切なことを教えてくれる、植物も人間も地球の一部、面白いと気づかされることが多数書かれていますので、興味のある方は読んでみてください。
関連書籍も豊富で、子供向けもあります。

関連Info :

奇跡のリンゴ 奇跡を起こす 見えないものを見る力 リンゴの絆―“奇跡”を支えた真実の人間ドラマ

百姓が地球を救う 奇跡のりんごスープ物語

ブータン 神秘の王国 (西岡京治・里子、農業開発)

サブタイトル : BHUTAN
Advantage : 情熱/ヒトの品格/幸福の意味
Key : 本/海外/国際協力/社会貢献/西岡京治/農業/GNH

Info :


 1980年にブータン国王よりダショーの称号を授かった日本人、西岡京治さんを知っていますか?
日本との正式国交樹立1986年に先駆けて、1964年から28年間、ブータン政府開発省農業局に勤め、農業開発に尽くした人物です。
当時の、鎖国状態であった原色のブータンの魅力と生活が、里子夫人の目を通して生き生きと綴られた希少な体験記です。
 1980年以降、とりわけ2006年の5代ジグミ・ケサル国王の王位継承後に加速しているように見える、開かれた海外交流の時代に入り、今では旅行もしやすくなったブータン王国。変わっていくもの、変らないもの、途上国の人々が惹かれる理由の源が伝わってくると思います。
ブータンの文化、国民総幸福量(GNH)の考え方、QOL等に興味がある人に、是非お勧めしたい本です。

 初めての外国人として赴任した当時、電気や水、交通網が未発達、物々交換で成り立っている生活を、率先して楽しんでいる2人の様子に好感が持てます。謙虚で素朴なブータンの人々との交流、鮮やかな衣装や風習、食、ヒマラヤの中の自然についての詳細な情報に、好奇心が刺激されます。
殺生嫌いが徹底されていて、ハエも殺してはいけないし、鶏も卵を採るためだけに飼っているけれども、食生活に欠かせないバターを供給するヤクは、一頭殺したら多くの人で肉を分けて、余すところなく利用するから許される。
現地のゴとキラという民族衣装を手に入れるためには、数ヶ月かけて反物を発注し、その反物の対価として支払う物々交換の品物、例えばモミとか米、を入手し、それから仕立て屋に頼むなど、苦労とも感じずに面白がっているような目線が楽しいです。

 西岡京治さんの農業開発活動については、里子夫人による手記ということもあって、専門的な記述は多くはありませんが、どんどんブータンを好きになっていき、この国のために形として何か残さなくてはという気持ち、没頭していく過程がうかがえます。
村人たちに、この地にあった農業技術を浸透させること、村人たちだけで持続可能な農業技術で、ブータン産の野菜や果物を低地のインドにどんどん輸出できることを目標としていたことが解ります。

 専門家だから教えるというだけでなくて、現地スタッフと一緒に活動しながら学ぶことも沢山ある。
 農民の気持ちになり、何回もミーティングを重ねて大きな目標を理解してもらう気持ちに持っていくことが大切だけども、直ぐに効果が見える喜びを与えることも大切。

これらの言葉ににじみ出ている、優しくて謙虚な人柄がブータンの人々に受け入れられ、信頼を得て、成功につながったのだと思います。

 西岡京治さんは、学生時代からネパール近隣の農業に興味を持ち、その後も学術調査隊に積極的に参加していました。31歳の若さで、望んでブータンに赴き、1992年に予期せぬ病気で亡くなるまでの一貫した情熱と挑戦の歩みに、真のプロフェッショナルの姿を感じます。

 西岡京治さんの大きな功績のおかげで、ブータンには親日家が多いといいます。
未来が気になる神秘の国、実際に訪れて、目にしてみたいです。
幸せだと感じている国民数(97%)が世界一、本当に幸せなのか?
外国資本の大型ホテルがどんどん増えている近年、どのように発展していくのか?

ちなみに、幸福論といえば、2012年のリオ会議で感動的なスピーチをしたウルグアイのムヒカ大統領。(Hana.biより)この世界一貧乏な大統領の幸福論と比較して、どう思いますか?


図は外務省ページより ブータンの幸福論指数
国民総幸福量(GNH)