Key : 本/自伝/男性/日本/漫画家/作家/アンパンマン
Info : 本 http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-78300-0
アンパンマンの生みの親、やなせたかし氏の93歳までの人生の歩み、思いが語られている自伝です。これは、数ヵ月後の2013年10月13日に94歳で亡くなるまで、輝き続けた命の最後のメッセージです。
生きる悲しみと喜びに向かい合う言葉は、一層深く、優しく感じられ、波のように心に打ち寄せてきます。
「なんのために生まれて なんのために生きるのか」
子供には大きくて、難しすぎると思われる、アンパンマンのテーマ曲。
東日本大震災の後に、最も多くリクエストされた曲でもあります。
その誕生の背景を読むと、私の前に、リアルなヒーロー“アンパンマン”が出現し、理屈抜きで純真な子供たちに愛される理由が解ったような気がしました。
愛と、勇気と、何か、があって、人々に希望を感じさせるのです。
その何かとは、人生の大きな2つの経験に裏づけされた力で、やなせ氏が、最後まで現役で、元気に生きぬいた意思の源でした。
その2つの経験とは?
・ 長い下積み時代
40代まで代表作が無く、60代でアンパンマンが大ヒット。
「人生に無駄なことは何一つ無い。やり続けることが大事。」
・ 戦争体験
弟を失う。食べ物が無い時代。正義について考える。
この経験を背負って生まれてきたアンパンマンは、なるほど、世界の美しい部分だけでなく、生きることの現実を素直に表している、“弱いヒーロー”だと気づきます。
弱いけど、正義の心は世界一強いヒーローの姿。これがストレートに心に響いて、多くの人を惹きつける理由なのでしょう。
顔を飢えた人に食べさせる
・・・食べ物を分け与えることは、何時でも何所でも、世界の正義。でも、正義を行うには、自分が傷ついたり、犠牲が伴う。
傷つきやすいヒーロー
・・・顔が濡れるとピンチ。すぐにジャムおじさんに助けてもらう。
素手で戦う
・・・弱いけど、絶対武器は使わない。使命は、食べ物を分け与えることだから。
戦う相手は悪
・・・ミクロのバイキンは目に見える姿を持つ敵ではない。戦争や病気などの悪の象徴と戦っている。
アンパンマンって深い、深いです。
やなせたかし先生、愛と勇気をありがとう。素敵なメッセージをありがとう。