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Viva La Vida ビヴァ ラ ビダって、「今を生きる」 を感じること。 実在人物の軌跡、考え、心、光と闇に触れて感じるスペース ☆ 私的セレクト図書館。 

2014/07/18

フラガール (一般人、スパリゾートハワイアンズ)

Advantage : 挑戦したくなる/情熱/がんばる気力UP
Key : 本/映画/日本/福島/スパリゾートハワイアンズ/復興支援

Info:
フラガール
本 2006映画原作
フラガールスタンダード・エディション [DVD]
映画 2006





 










 フラガール ~ 2006年に公開されたこの映画、ご存知の方も多いでしょう。
 なぜ今になって“フラガール”を読み直してみたのか?
夏に向けてスパリゾートハワイアンズのCMを目にする機会が多くなり、楽しそう、行きたいな、そういえば・・・と、ふと思いました。
TVでジャンジャンCMをしているなんて、相変わらず旅行会社への依存度を抑え、ほぼ自社力でマーケティングと集客を頑張っているな。PR費に大きな予算を使えるのは収益が上がっているから、新たな事業展開にも挑んでいるようだ。
2011年東日本大震災の被災地ど真ん中にあって、元気なパワーをふりまいている。復興と支援活動のアイコン的存在となるべく努めた企業理念、行動力は誰もが認めるところ。。。。

昭和41年、福島県のいわき市に誕生した常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)がオープンするまでの奮闘物語です。
東北の田舎、荒廃感漂う炭鉱で、町の存亡をかけた事業に取り組む人々が、保守的な過去へのこだわりや人間関係のシガラミを打ち破り、日本で始めての概念“アミューズメントパーク、リゾート”施設事業設立とフラダンスへの希望と情熱を追った、舞台裏の記録です。

映画では俳優のキャラクターも当たり、前を向いて頑張ろう、フラダンスの魅力と情熱が伝わってくる、明るい印象でした。本を読むと(映画のシナリオ的なものなので、サラッと読みやすいのですが)、映像が無い分、あの時代、東北の超田舎にある炭鉱町での挑戦と困難、関係者の葛藤という面について、もっと考えさせられました。日本初のアミューズメントパークというビジネス、しかも東北に南国ハワイのフラダンスというカルチャーショックを乗り越えて、よく信念を貫いたと思います。

時代背景もあると思いますが、素人、未経験でもチャレンジできる。
恐れず、あきらめず、信念を一貫する。
人々と世の中を明るく、元気にする一端を担う。
こんな企業DNAが根底に流れているのかな?と思いつつ、2012年に制作された東北復興支援DVD、
“がんばっぺ フラガール!”も鑑賞してみました。

参考Info:
がんばっぺ フラガール!  ―フクシマに生きる。彼女たちのいま―【DVD】
DVD 2012復興支援


2014/07/17

チョコレートドーナツ (一般人、同性愛とダウン症について)

原題 : ANY DAY NOW
Advantage : 幸福の意味/勇気/命、病気について/心温まる/泣けます
Key : 本/男性/海外/同性愛/ダウン症

Info : 映画



 1970年代にアメリカのブルックリンであった実話。
無償の愛、家族愛、夢という大切で、シンプルなことが胸に染み込んできて、心がボワンとなるお話です。そして、ゲイへの偏見、ダウン症、社会の正義と不条理を問いかけるお話でもあります。

ルディはゲイバーで働きながら歌手を夢見るダンサー、ポールは離婚暦のある真面目な検察官、ダウン症の少年マルコ14歳。それぞれ心に傷を持ち、虚しさを感じながら生きていた3人がほぼ同じ時に出逢い、成り行きで数日の内に同居を始めます。
お金や地位が無くても、愛は誰でも手に入れることができる。そう信じられるようになった幸福な日々は、約一年間で終わりを告げます。型通りの法律的分類によると、ゲイのカップルによる障害児の保護養育には問題があるとして、マルコは保護施設に送られてしまいます。マルコが守られて、安全に、幸せに生活する方法を最優先することよりも、ゲイへの偏見が判決を決定したからです。

 麻薬中毒患者の母に育児放棄され、深夜に町をさまよっていたマルコを、隣人のルディが見かけ、連れて帰ったことからストーリーは始まります。家賃を払えないほどお金に窮していて、ゲイ野郎と罵られても、他人でダウン症のマルコを見放さず、守ろうとします。ポールは、ルディと共にマルコへ愛情を注ぎ、家族愛、無償の愛の尊さを初めて知り、お金や地位の意味を考えます。
引き離されたマルコともう一度暮らすために、ポールは法律家として知恵を絞り、再審を挑むのですが、意地悪な司法取引の策略によって、今度は完全な別離を言い渡されてしまいます。
社会を変えるために自分が何かしたいという情熱から法律家になり、最善の専門知識をもって戦っても、一人の少年を救うことができない。マルコの不幸な未来がわかりきっているのに。正義とは何か?法律は善人の味方ではないのか?
再び養育権利を取り戻した麻薬中毒の母親と生活することになったマルコは、それから暫くして、またも見放されて死んでしまいました。やるせない、悲しい結末です。

 1970年代、スモーキーでギラギラした町と人々、時代を映し出すスクリーンの色に惹かれました。
それを彩るミュージックが重要な役割を果たしていて、とても印象的です。
幸せの“Come to me”、全身全霊で謳い上げる哀愁、悲しみのソウルミュージック、ルディ役のアラン・カミングは素晴らしい!はまり役です。
そして、泣けるけど、わざとらしく無くて、視聴者にゆだねる的な淡々とした描写が良いです。

 当時のアメリカでは、今よりもっと同性愛をカミングアウトすることが躊躇われる、抑制され、強い偏見を持たれていたでしょう。今でこそアメリカの同性愛者は、オープンで自由なイメージがあるけれど、それは地域差がかなり大きいし、日本よりもよほど深く、複雑な問題であろうと思います。一部の保守的、宗教的な理由による反対派の偏見・差別・憎悪の度合いと主張は、相当激しいものだと思います。

 無償の愛、家族愛、同性愛、愛って難しい。愛って大切です。
 今ならば、マルコの養育保護をめぐる裁判は違った結果になっているのかな?世の中は良い方向へ向かっているのかな?

2014/07/16

幸せへのキセキ 動物園を買った家族の物語 (ベンジャミン・ミー、ジャーナリスト)

原題 : We Bought a Zoo
Advantage : 幸福の意味/命、病気について/挑戦したくなる/頑張る気力UP/心温まる
Key : 本/映画/男性/海外/ジャーナリスト/ダートムーア動物学公園

Info :    映画

  幸せへのキセキ [DVD]

 イギリス人ジャーナリストのベンジャミン・ミーが、突如、破綻した動物園を買い取ってから、約1年をかけて2007年7月に新規オープンを果たすまで、夢のような真実の物語。
ある時に運命的なキーが幾つか現れて、それを掴み取ろうとする意思と決断が重なった時、人生は劇的に変わる、変えることができるということを証明するような、お伽噺のようなストーリーだと思います。
経験も知識もなく、いきなり荒廃した動物園を買って園長となってしまったベンジャミン本人が、戸惑い、驚き、興奮しながら、自身のジャーナリストとしての眼を通した現実を書き綴っていくストーリーは読みやすく、客観的な面もありつつ、心温まるヒューマンストーリーとして完成されています。
また、動物の生態観察についても、一般の、いわゆる素人目線での感動が生き生きと描かれています。

ベンジャミンの場合のキーは、ロンドン郊外で暮らしていた父親が亡くなって、母親が余生を過ごす新たな家を探していた機会、妻のキャサリンに脳腫瘍が見つかった運命的な出来事。そんな時に、動物園売り出し処分の不動産広告を見つけた妹が“兄さんの夢のシナリオよ”と送ってきたという、3つのリンクです。

 生きる意味、家族の愛について考えて悩んだ時、ただ一般の動物好きのジャーナリストが惹かれたもの、巡り合ったのが、動物園という別世界での生活と挑戦だったという感じです。
それを可能にしたのが家族の結束~ロンドン郊外の家を売り払って同居した元気な母親、4人の兄弟とその家族、妻キャサリンと2人の子供達と、まさに一丸となって進むこと~、それから、ベンジャミンの好奇心旺盛、冒険に憧れる少年のような性格によるところが大きいと思いました。
引っ越して4日目にジャガーが脱走したり、動物園運営の細かな規則や資金繰り、学会との軋轢、スタッフとの信頼関係など、問題は山積みでしたが、家族や友人と力を合わせて一つ一つクリアしていきます。

 約1年後に新生ダートムーア動物学公園をオープンするに至りますが、残念ながらその日を待たずに最愛の妻キャサリンが亡くなってしまいます。
脳腫瘍の症状が進行するにつれ、言葉と体の自由が奪われていく最後の日々の中で、どんな状態でも大好きなキャサリンはキャサリンで、2人で過ごす時間がとても嬉しい様子。ロンドンでの多忙で、華やかなジャーナリストとしての生活では分かち合えなかった和やかな気持ちと親密な時間に感謝する気持ち。キャサリンの余命を子供達に告げる時の気持ちと、長男マイロの言葉“ぼくは泣きたくない。パパのために強くなりたいんだ。”に自分の家族がダブり、心が痛くなりました。
愛する人を失う絶望は誰もが同じで、ベンジャミンも仕事への無力感、何を見てもキャサリンを思い出してしまう悲しみに沈みます。
ただ、最後まで希望を持ち続け、希望を共有して生きてきたという事実は、キャサリンにも、周りの家族にも、何にも変えられないものであったと思います。そのために、未知の世界へ進む、生活を完全に転換する勇気を持ち、行動したことを尊敬します。

 現在、動物保護と自然環境学習を目的に掲げ、多くの人が集うことを目指すダートムーア動物学公園は、異業種からの視点とアイデアも盛り込んで挑戦を続けているようです。
2006年に動物園購入に興味を持った40歳くらいの一人の男性が、翌2007年に動物園の園長となって出発する経緯は、ある程度の資金とチャンス、身を投じる勇気があれば、他の人でも実現できたかもしれない物語で、遠い世界や時代の話ではありません。だからこそ、人間味やシンパシーをを感じ、実際に行動する勇気を持った稀な人、作者ベンジャミン、関係者を応援したい気持ちになるのだと思いました。

この本が原作となった映画では、舞台がアメリカだったり、妻キャサリンが亡くなってから動物園に住むことを決める等、多少の違いがあるようです。でも、田舎の風景や動物達の迫力あるビジュアルがあって、こちらもとても魅力的な作品だと思います。

2014/07/15

マイケル・ムーア、語る。 (マイケル・ムーア、ドキュメンタリー映画監督)

原題 : Here Comes Trouble
Advantage : 不屈の精神/人間力/面白い/笑えます
Key : 本/男性/海外/映画監督/ドキュメンタリー/戦争/政治

Info : 

マイケル・ムーア、語る。


 マイケル・ムーアといえば、マイノリティー擁護、大統領批判、ドキュメンタリー映画にこだわる社会派。
これはマイケル・ムーア自身がユーモアと皮肉たっぷりな口調で語る、怒涛の自伝。笑えます。
子供時代から、イラク戦争を批判して非国民的な扱いを受けながらも、自分は間違ってない!とパワフルに復活する時代までの気持ちや裏舞台が描かれています。

実際のところ、大胆な行動、発言と口の悪さのインパクトが強すぎるために、クレイジーとか超ヴァイタリティー溢れる、悪童、爆撃機みたいだ・・・といったイメージが先行し、彼のアクションの真意については深く考えたことがありませんでした。唯一、ドキュメンタリー映画作品を観て、視点に感心、推察するくらいでした。
「ブッシュ大統領、恥を知れ」・・・2003年イラク戦争が始まって5日目、“ボーリング フォー コロンバイン”のアカデミー賞授賞式での爆弾演説は、アメリカに、世界に激震を与えた行動として最も有名でしょう。その経緯、強制退場させられてから自分と家族の命が狙われる状況についての詳細は、10年が過ぎた今だから明かすことができる内容でもあり、その時賛同した人々や社会状況、善悪の判断について考えさせられます。

敬虔なクリスチャンの家庭で、家族愛に恵まれて育ったこと。
神学校に進学して、超真面目に勉強し、神の存在について考えて過ごした少年期の葛藤があり、最終的には成績優秀にもかかわらず、教師を質問攻めにするからという理由で退学になったこと。
それらのバックグラウンドを前半で読んだ後だけに、マイケル・ムーアのナイーブで真面目、やさしい顔が浮かび上がってきて、いままでの人物像や作品に対するイメージがかなり変わって映りました。
けれども、マイケル・ムーアについて一番感じたこと、根本的なアイデンティティーは、社会的立場に窮しても信念を貫き、その方法を捻り出して行動するヴァイタリティー、自己主張の強さと自信。
やはり、すごくアメリカ的なものに支えられて成り立っているんだなと感じました。
日本では、こういうキャラクターは存在があまり認められない、成長過程で消されてしまいますよね。

関連Info: DVD


ボウリング・フォー・コロンバイン [DVD]ロジャー&ミー 特別版 [DVD]華氏 911 コレクターズ・エディション [DVD]



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2014/07/13

さかな の なみだ (さかなクン、お魚イラストレーター)

Advantage : 情熱/人間力
Key : 本/絵本/男性/日本/イラストレーター/魚/海洋生物学/心温まる/いじめ 

Info : 




 さかなクンの素朴な言葉が、トツトツと並べられているシンプルな絵本。
自分の“いじめ”に関する体験を、さかなの世界に映して、さかなクンの視線で語っています。
その内容は、決していじめ加害者を非難するものでも、説教じみた教訓風でもありません。
自身の体験を通した結果として語られている言葉は多弁では無いけれど、雄弁。誠実で、前向きで、心に染みます。
結びのフレーズ・・・・広い空の下、広い海へ出てみましょう。・・・・素敵だと思います。

子供から大人まで、心温まる、ふっと心が笑顔になる絵本だと思います。
最後に、さかなクンの生い立ちとイラストがチョッと載っています。好きな“魚”を貫く情熱と純粋さ、勇気、それを見守る家族環境に、なるほど!です。タコにはまって、タコ博士になりたかった子供時代の話には親近感を感じ、笑ってしまいました。