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Viva La Vida ビヴァ ラ ビダって、「今を生きる」 を感じること。 実在人物の軌跡、考え、心、光と闇に触れて感じるスペース ☆ 私的セレクト図書館。 

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2013/12/23

なんのために生まれてきたの? (やなせたかし、漫画家/作家)

Advantage : 勇気/情熱/不屈の精神
Key : 本/自伝/男性/日本/漫画家/作家/アンパンマン 

Info :  http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-78300-0

何のために生まれてきたの?

 アンパンマンの生みの親、やなせたかし氏の93歳までの人生の歩み、思いが語られている自伝です。これは、数ヵ月後の2013年10月13日に94歳で亡くなるまで、輝き続けた命の最後のメッセージです。
生きる悲しみと喜びに向かい合う言葉は、一層深く、優しく感じられ、波のように心に打ち寄せてきます。

 「なんのために生まれて なんのために生きるのか」
子供には大きくて、難しすぎると思われる、アンパンマンのテーマ曲。
東日本大震災の後に、最も多くリクエストされた曲でもあります。
 その誕生の背景を読むと、私の前に、リアルなヒーロー“アンパンマン”が出現し、理屈抜きで純真な子供たちに愛される理由が解ったような気がしました。
 愛と、勇気と、何か、があって、人々に希望を感じさせるのです。
その何かとは、人生の大きな2つの経験に裏づけされた力で、やなせ氏が、最後まで現役で、元気に生きぬいた意思の源でした。

その2つの経験とは?

・ 長い下積み時代
  40代まで代表作が無く、60代でアンパンマンが大ヒット。
  「人生に無駄なことは何一つ無い。やり続けることが大事。」

・ 戦争体験
  弟を失う。食べ物が無い時代。正義について考える。

 この経験を背負って生まれてきたアンパンマンは、なるほど、世界の美しい部分だけでなく、生きることの現実を素直に表している、“弱いヒーロー”だと気づきます。
弱いけど、正義の心は世界一強いヒーローの姿。これがストレートに心に響いて、多くの人を惹きつける理由なのでしょう。

顔を飢えた人に食べさせる
・・・食べ物を分け与えることは、何時でも何所でも、世界の正義。でも、正義を行うには、自分が傷ついたり、犠牲が伴う。

傷つきやすいヒーロー
・・・顔が濡れるとピンチ。すぐにジャムおじさんに助けてもらう。

素手で戦う
・・・弱いけど、絶対武器は使わない。使命は、食べ物を分け与えることだから。

戦う相手は悪
・・・ミクロのバイキンは目に見える姿を持つ敵ではない。戦争や病気などの悪の象徴と戦っている。

 アンパンマンって深い、深いです。
やなせたかし先生、愛と勇気をありがとう。素敵なメッセージをありがとう。

2013/12/17

イルカと墜落 (沢木耕太郎、作家/ルポライター)

サブタイトル : 沢木氏、ブラジルで危機一髪
Advantage : 未知の世界/幸せの意味/社会の豊かさ
Key : 本/TV番組/男性/日本/ライター/冒険/環境問題 

Info : http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167209155

        NHKスペシャル 2003年6月22日放送
       沢木耕太郎 アマゾン思索紀行  「隔絶された人々 イゾラド」     



 2001年、NHK番組の取材のために初のブラジルへ、さらに未開のジャングルへと旅立った沢木氏。
ミッションは、文明と未接触のイゾラド(=インディオ)の取材です。
そして、何とジャングルへ向かうために乗り込んだセスナが墜落してしまうのです。

 “窓の外の熱帯雨林がぐんぐん近づいてくる。どうやらこの飛行機は墜ちるらしい”
そして、墜落の瞬間、咄嗟に思ったことは、“マジかよっ”。

 家族や自分の運命のことではなく、取材同行スタッフの口癖“マジ”だったことに、本人も後から驚いたようです。小説のような事件に直面すると、アッという間で、理性的に考える余裕なんて無いのかもしれません。セスナは大破し、死傷者が出なかったのが不思議な程の大事故だったのに、とにかく、全員軽症で何よりだと思いました。

 こんな奇跡の事件の当事者となった沢木氏、相変わらず淡々と、沢木ワールドで語っていきます。生と死は背中合わせ、死は直ぐ隣にあるもの、自分は今までやりたいことをたくさんやってきたから、死への恐怖や生への執着はそんなに無いと気づいた、と経験を振り返っています。

 この物語には、もう一人のKeyパーソンがいます。
ブラジルのジャングル奥地には、未確認、未接触のイゾラド(=インディオ)が相当数いるそうで、ブラジル政府の組織によって調査、管理されています。
その組織のリーダー、ポスエロ氏です。強烈なカリスマ、アクション漫画のヒーローのように豪快で明るく、不屈の精神の持ち主のようで、人間力にグイグイ引き込まれます。

 下記の言葉は、印象的でした。
ポスエロ氏が彼らとの接触、失敗と後悔の中で考え、たどり着いた信じるべきもの。身を尽くすべき理由なのでしょう。
幸せとは何か?自分の立場は?自分がやるべきことは?自分たち文明人は、上から目線で助けたり、守ってあげるヒーローでも、正義でもない。

ポスエロ氏の言葉:

 イゾラドが、イゾラドとして生まれて、そのまま自然に死んでいく。それが一番美しいことだ。
僕はその美学、理想を実現するためだけの理由で、僕の仕事を、任務を行っている。
できるだけ文明に触れさせないことだ。彼らが、あるがままにジャングルで楽しく暮らすことだ。

 イゾラドの数は減少していて、やがて絶滅するのは時間の問題だ。
僕らは、それをできるだけ引き伸ばしているにすぎない。
だって白人がここにやって来てからの所業を考えてごらん、僕らは最後の時間をもらって、彼らにできることをするしかないんだ。


 私はこの取材から完成した番組
沢木耕太郎 アマゾン思索紀行  「隔絶された人々 イゾラド」
を観ていないのですが、それは沢木氏のこんな語りで始まり、終わるそうです。
取材の裏舞台であるこの本の、ポスエロ氏の言葉を重ねるとき、魅惑的なフレーズは一層深みを帯びて響きます。
幸せとは何だ、考えさせられます。

 不思議な話を聞いたのだ。
ある時、2人のイゾラドが忽然と現れた。
近隣数百キロ範囲のイゾラドとは異なる言語と文化を持ち、彼らは何者か、何所から来たのか、まさに忽然と現れたのである。

(アウレとアウラと名付けられた2人の話し声が風に乗って聞こえてくる)
しゃべっているね。
そうだね。あの声が消える時、あの1つの文化も地球上から消えて亡くなるんだ。