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Viva La Vida ビヴァ ラ ビダって、「今を生きる」 を感じること。 実在人物の軌跡、考え、心、光と闇に触れて感じるスペース ☆ 私的セレクト図書館。 

2014/01/04

ブータン 神秘の王国 (西岡京治・里子、農業開発)

サブタイトル : BHUTAN
Advantage : 情熱/ヒトの品格/幸福の意味
Key : 本/海外/国際協力/社会貢献/西岡京治/農業/GNH

Info :


 1980年にブータン国王よりダショーの称号を授かった日本人、西岡京治さんを知っていますか?
日本との正式国交樹立1986年に先駆けて、1964年から28年間、ブータン政府開発省農業局に勤め、農業開発に尽くした人物です。
当時の、鎖国状態であった原色のブータンの魅力と生活が、里子夫人の目を通して生き生きと綴られた希少な体験記です。
 1980年以降、とりわけ2006年の5代ジグミ・ケサル国王の王位継承後に加速しているように見える、開かれた海外交流の時代に入り、今では旅行もしやすくなったブータン王国。変わっていくもの、変らないもの、途上国の人々が惹かれる理由の源が伝わってくると思います。
ブータンの文化、国民総幸福量(GNH)の考え方、QOL等に興味がある人に、是非お勧めしたい本です。

 初めての外国人として赴任した当時、電気や水、交通網が未発達、物々交換で成り立っている生活を、率先して楽しんでいる2人の様子に好感が持てます。謙虚で素朴なブータンの人々との交流、鮮やかな衣装や風習、食、ヒマラヤの中の自然についての詳細な情報に、好奇心が刺激されます。
殺生嫌いが徹底されていて、ハエも殺してはいけないし、鶏も卵を採るためだけに飼っているけれども、食生活に欠かせないバターを供給するヤクは、一頭殺したら多くの人で肉を分けて、余すところなく利用するから許される。
現地のゴとキラという民族衣装を手に入れるためには、数ヶ月かけて反物を発注し、その反物の対価として支払う物々交換の品物、例えばモミとか米、を入手し、それから仕立て屋に頼むなど、苦労とも感じずに面白がっているような目線が楽しいです。

 西岡京治さんの農業開発活動については、里子夫人による手記ということもあって、専門的な記述は多くはありませんが、どんどんブータンを好きになっていき、この国のために形として何か残さなくてはという気持ち、没頭していく過程がうかがえます。
村人たちに、この地にあった農業技術を浸透させること、村人たちだけで持続可能な農業技術で、ブータン産の野菜や果物を低地のインドにどんどん輸出できることを目標としていたことが解ります。

 専門家だから教えるというだけでなくて、現地スタッフと一緒に活動しながら学ぶことも沢山ある。
 農民の気持ちになり、何回もミーティングを重ねて大きな目標を理解してもらう気持ちに持っていくことが大切だけども、直ぐに効果が見える喜びを与えることも大切。

これらの言葉ににじみ出ている、優しくて謙虚な人柄がブータンの人々に受け入れられ、信頼を得て、成功につながったのだと思います。

 西岡京治さんは、学生時代からネパール近隣の農業に興味を持ち、その後も学術調査隊に積極的に参加していました。31歳の若さで、望んでブータンに赴き、1992年に予期せぬ病気で亡くなるまでの一貫した情熱と挑戦の歩みに、真のプロフェッショナルの姿を感じます。

 西岡京治さんの大きな功績のおかげで、ブータンには親日家が多いといいます。
未来が気になる神秘の国、実際に訪れて、目にしてみたいです。
幸せだと感じている国民数(97%)が世界一、本当に幸せなのか?
外国資本の大型ホテルがどんどん増えている近年、どのように発展していくのか?

ちなみに、幸福論といえば、2012年のリオ会議で感動的なスピーチをしたウルグアイのムヒカ大統領。(Hana.biより)この世界一貧乏な大統領の幸福論と比較して、どう思いますか?


図は外務省ページより ブータンの幸福論指数
国民総幸福量(GNH)

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