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Viva La Vida ビヴァ ラ ビダって、「今を生きる」 を感じること。 実在人物の軌跡、考え、心、光と闇に触れて感じるスペース ☆ 私的セレクト図書館。 

2014/07/17

チョコレートドーナツ (一般人、同性愛とダウン症について)

原題 : ANY DAY NOW
Advantage : 幸福の意味/勇気/命、病気について/心温まる/泣けます
Key : 本/男性/海外/同性愛/ダウン症

Info : 映画



 1970年代にアメリカのブルックリンであった実話。
無償の愛、家族愛、夢という大切で、シンプルなことが胸に染み込んできて、心がボワンとなるお話です。そして、ゲイへの偏見、ダウン症、社会の正義と不条理を問いかけるお話でもあります。

ルディはゲイバーで働きながら歌手を夢見るダンサー、ポールは離婚暦のある真面目な検察官、ダウン症の少年マルコ14歳。それぞれ心に傷を持ち、虚しさを感じながら生きていた3人がほぼ同じ時に出逢い、成り行きで数日の内に同居を始めます。
お金や地位が無くても、愛は誰でも手に入れることができる。そう信じられるようになった幸福な日々は、約一年間で終わりを告げます。型通りの法律的分類によると、ゲイのカップルによる障害児の保護養育には問題があるとして、マルコは保護施設に送られてしまいます。マルコが守られて、安全に、幸せに生活する方法を最優先することよりも、ゲイへの偏見が判決を決定したからです。

 麻薬中毒患者の母に育児放棄され、深夜に町をさまよっていたマルコを、隣人のルディが見かけ、連れて帰ったことからストーリーは始まります。家賃を払えないほどお金に窮していて、ゲイ野郎と罵られても、他人でダウン症のマルコを見放さず、守ろうとします。ポールは、ルディと共にマルコへ愛情を注ぎ、家族愛、無償の愛の尊さを初めて知り、お金や地位の意味を考えます。
引き離されたマルコともう一度暮らすために、ポールは法律家として知恵を絞り、再審を挑むのですが、意地悪な司法取引の策略によって、今度は完全な別離を言い渡されてしまいます。
社会を変えるために自分が何かしたいという情熱から法律家になり、最善の専門知識をもって戦っても、一人の少年を救うことができない。マルコの不幸な未来がわかりきっているのに。正義とは何か?法律は善人の味方ではないのか?
再び養育権利を取り戻した麻薬中毒の母親と生活することになったマルコは、それから暫くして、またも見放されて死んでしまいました。やるせない、悲しい結末です。

 1970年代、スモーキーでギラギラした町と人々、時代を映し出すスクリーンの色に惹かれました。
それを彩るミュージックが重要な役割を果たしていて、とても印象的です。
幸せの“Come to me”、全身全霊で謳い上げる哀愁、悲しみのソウルミュージック、ルディ役のアラン・カミングは素晴らしい!はまり役です。
そして、泣けるけど、わざとらしく無くて、視聴者にゆだねる的な淡々とした描写が良いです。

 当時のアメリカでは、今よりもっと同性愛をカミングアウトすることが躊躇われる、抑制され、強い偏見を持たれていたでしょう。今でこそアメリカの同性愛者は、オープンで自由なイメージがあるけれど、それは地域差がかなり大きいし、日本よりもよほど深く、複雑な問題であろうと思います。一部の保守的、宗教的な理由による反対派の偏見・差別・憎悪の度合いと主張は、相当激しいものだと思います。

 無償の愛、家族愛、同性愛、愛って難しい。愛って大切です。
 今ならば、マルコの養育保護をめぐる裁判は違った結果になっているのかな?世の中は良い方向へ向かっているのかな?

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